横浜再開発|エリア別動向・法律・事例をわかりやすく解説

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都会のオフィス・ビル群

横浜の再開発とは

 

横浜 再開発出典:PIXTA

 

2024年6月、横浜駅きた西口に地上43階建ての高層複合ビル「THE YOKOHAMA FRONT」が開業しました。同じ時期に関内や北仲通でも大型ビルの建設が相次いでおり、横浜市内では駅前や臨海部を中心に再開発が同時多発的に進んでいます。

 

なぜ今、横浜で再開発が進んでいるのか

横浜で再開発が相次いでいる背景には、既存インフラの老朽化と国際化への対応という2つの要因があります。横浜駅周辺では昭和40〜50年代に建てられたビルが多く、建て替えの時期を迎えている建物が集積しています。

 

同時に、羽田空港の国際化なども踏まえ、国際都市としての機能強化が求められるようになりました。横浜市は、こうした課題に対応する指針として「エキサイトよこはま22」を掲げ、国際化への対応や駅としての魅力向上を進めるまちづくりに取り組んでいます。

 

※:“横浜市「エキサイトよこはま22」”参照

 

横浜が抱えるまちづくりの課題

再開発が求められる一方で、横浜が抱える課題も少なくありません。横浜駅周辺は海や川に近く、治水安全度の確保が長年の論点となってきました。

 

また、老朽化した建物の更新には多くの権利者との合意形成が必要になる場合があり、計画から完成まで長い期間を要することもあります。こうした課題を一つずつ解決しながら、まちの安全性と魅力を同時に高めていくことが求められています。

 

横浜の再開発が目指すもの

横浜市がまちづくりの指針として掲げているのは、「国際都市の玄関口としてふさわしいまちづくり」です。単に建物を新しくするだけでなく、防災性の向上や歩行者空間の充実、環境への配慮など、複数の視点を組み合わせてまちの価値を高めていくことが再開発の目的とされています。

 

※:“横浜市「エキサイトよこはま22」”参照

 

市街地再開発事業とは

 

市街地再開発事業出典:PIXTA

 

「再開発」と聞くと、単に古いビルを壊して新しく建て直すだけのイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし実際には、都市再開発法という法律に基づいて、権利者の権利を守りながら進める仕組みが用意されています。

 

都市再開発法が制定された背景

市街地再開発事業の根拠となっているのが、1969年(昭和44年)に制定された都市再開発法です。高度経済成長期には、老朽化した木造建築物が密集し、道路などの公共施設が不足する市街地が各地で課題となっていました。そこで、土地の権利関係を維持しながら建物と公共施設を一体的に整備できる仕組みとして、この法律が定められました。

 

※“国土交通省(旧建設省)「都市再開発法等の施行について」”参照

 

市街地再開発事業の基本的な仕組み

市街地再開発事業では、老朽化した建物が集まる区域について土地を集約し直したうえで、道路や広場などの公共施設とともに新しい建物(再開発ビル)を整備します。従前の権利者は、それまで持っていた土地や建物の権利を、原則として新しい建物の床(権利床)に置き換えて引き続き利用できる仕組みが基本になっています。

 

※“横浜市「事業の区別と仕組み」”参照

 

第一種と第二種市街地再開発事業の違い

市街地再開発事業には第一種と第二種の2種類があります。第一種は「権利変換方式」と呼ばれ、権利者の同意を前提に、従前の資産価値に応じて新しい建物の床に権利を置き換える方法です。

 

第二種は「管理処分方式」とも呼ばれ、公共性・緊急性が著しく高い区域で、施行者が一旦土地や建物を買収したうえで整備を進める方法です。横浜市内で進む再開発の多くは、組合施行による第一種市街地再開発事業として実施されています。

 

※:“国土交通省「都市:市街地再開発事業」”参照

 

横浜市の再開発を支える制度・戦略

 

横浜市 再開発 制度 戦略出典:PIXTA

 

法律の全体像を理解したところで、次に気になるのは横浜市が独自にどのような制度や戦略を組み合わせているかでしょう。

 

都市計画法に基づく用途地域・地区計画

再開発を進める際の土地利用の前提となっているのが、1968年(昭和43年)に制定された都市計画法です。都市計画法では、地域ごとに建てられる建物の用途や規模を定める「用途地域」や、地区の特性に応じてよりきめ細かなルールを定める「地区計画」といった制度が設けられています。横浜駅周辺の再開発でも、地区計画によって高さや用途に関するルールが個別に定められています。

 

※“国立公文書館「都市計画法」”参照

 

横浜市の都市戦略「エキサイトよこはま22」

横浜駅周辺地区に特化したまちづくりの指針が「エキサイトよこはま22」です。2009年(平成21年)12月に取りまとめられ、まちづくりビジョン・基盤整備の基本方針・まちづくりガイドラインの3つで構成されています。行政と民間事業者が連携しながら再開発を進める際のルールを示すものとして、横浜駅周辺の複数のプロジェクトに活用されています。

 

※“横浜市「エキサイトよこはま22」”参照

 

再開発にともなう補助・支援制度

市街地再開発事業には多額の事業費がかかるため、行政による補助制度が用意されています。横浜市は、国の補助要綱を踏まえたうえで、都市再開発法に基づく市街地再開発事業の施行者に対し、予算の範囲内で費用の一部を補助する制度を設けています。補助の対象や割合は事業ごとに異なる場合があるため、実際の活用にあたっては個別の確認が必要です。

 

※:“横浜市「市街地再開発事業の資金計画」”参照

 

横浜駅周辺の再開発の動向

 

横浜駅周辺 再開発 動向出典:PIXTA

 

横浜駅の西口を出てペデストリアンデッキを進むと、地上43階建ての高層ビルが目に入ります。数年前まで工事中だったこの一帯は、今では横浜駅周辺で最も変化の大きいエリアの一つになっています。

 

横浜駅きた西口「THE YOKOHAMA FRONT」

「横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業」として整備された「THE YOKOHAMA FRONT」は、2024年6月20日に商業エリアが開業しました。地上43階、高さ約178メートルの複合ビルで、商業施設やホテル、住宅、事業共創施設などが一体的に整備されています。横浜駅からペデストリアンデッキで直結しており、駅周辺の回遊性向上にも寄与しています。

 

※“横浜市観光情報サイト「THE YOKOHAMA FRONT」商業エリア開業”参照

 

横浜駅みなみ東口地区(エキサイトよこはま22)

横浜駅みなみ東口地区では、2024年6月10日に崎陽軒を理事長とする市街地再開発準備組合が設立されました。地下3階・地上45階、高さ約231メートルの超高層ビルを整備する計画が示されており、2037年度の完成を目指して手続きが進められています。

 

※“京浜急行電鉄「横浜駅みなみ東口地区市街地再開発準備組合の設立について」”参照

 

横浜駅西口エリア全体の変化

横浜駅西口エリアでは、「エキサイトよこはま22」の指針のもと、鶴屋町地区の再開発だけでなく、駅前広場の整備や歩行者空間の拡充なども段階的に進められてきました。老朽化した建物の更新にとどまらず、駅を中心とした回遊性や防災性の向上を促す取り組みとして位置づけられています。

 

みなとみらい・関内エリアの再開発の動向

 

みなとみらい 関内 再開発 動向出典:PIXTA

 

1983年11月、造船所や操車場として使われていた臨海部の土地で、後に「みなとみらい21」と呼ばれる事業が着工しました。それから40年以上を経て、この一帯は横浜を象徴する街並みへと姿を変えています。

 

みなとみらい21地区の複合開発

みなとみらい21地区は、中央地区と新港地区を合わせて約186ヘクタールの面積を持つ大規模プロジェクトです。1983年11月に着工し、土地区画整理事業は2011年(平成23年)3月に完了しました。オフィスや商業施設に加え、公園や国際交流機能なども計画的に配置され、関内・伊勢佐木町地区と横浜駅周辺地区を一体化する目的で整備が進められてきました。

 

※“横浜市「みなとみらい21地区 事業概要」”参照

 

関内駅前地区「BASEGATE横浜関内」など

関内駅前では、旧横浜市庁舎街区を活用した「BASEGATE横浜関内」が2025年12月26日に竣工しました。地上33階建てのタワー棟にオフィスや商業施設が入居し、横浜スタジアムに直結する立地を生かしたエリアとなっています。隣接する北口地区・港町地区でも超高層ビルの建設が計画されており、関内駅前地区全体で再開発の広がりが見られます。

 

※“株式会社第一ビルディング「BASEGATE横浜関内のご案内」”参照

 

北仲通地区の複合開発

みなとみらい地区の対岸にあたる北仲通地区でも、住宅・オフィス・商業を組み合わせた複合開発が進められています。北仲通北地区ではすでに大規模タワーマンションが完成しており、隣接するB-1地区では「ハーバーステージ横浜北仲」の街区名称が発表されるなど、周辺エリアの開発が続いています。

 

※1:“三菱地所オフィス情報「横濱ビルディング」周辺の開発状況”参照

※2:“東急不動産「北仲通北地区B-1地区新築工事」街区名称決定について”参照

 

横浜市内のその他の注目再開発エリア

 

横浜市内 注目 再開発エリア出典:PIXTA

 

横浜駅周辺やみなとみらい・関内エリア以外にも、横浜市内では再開発の動きが広がっています。横浜中央郵便局や「アソビル」周辺を含む山下ふ頭では、緑と海辺を生かした空間づくりを掲げる再開発の事業化が、2026年度頃を目途に進められています。

 

また、東海道の宿場町としての歴史を持つ戸塚駅前では、駅周辺の商業・住宅機能の更新が続いています。新横浜駅周辺でも、マンションや事業所の建て替えが相次いでおり、横浜市内の再開発は都心部だけでなく郊外の拠点駅にも広がりを見せています。

 

※:“横浜市観光協会「これからのYOKOHAMA」”参照

 

横浜の再開発のメリットと課題

 

横浜 再開発 メリット 課題出典:PIXTA

 

大規模な再開発には期待の声が集まりやすい一方で、そこにはメリットと課題の両面があります。

 

メリット

市街地再開発事業には、土地の高度利用や防災性の向上、道路・広場といった公共施設の整備などの効果が期待されています。良質な住宅や商業施設が新たに供給されることで、駅前や臨海部の利便性が高まる場合もあります。また、建物の不燃化が進むことで、地域の防災性の向上を促す仕組みにもなっています。

 

※“国土交通省「都市:市街地再開発事業」”参照

 

課題・デメリット

一方で、再開発には課題も存在します。多くの権利者が関わる事業では、権利変換の内容や資産評価について合意形成に時間がかかる場合があります。

 

また、事業費が大きくなりやすく、資金計画や保留床の販売状況によって事業の進行が影響を受けることも少なくありません。竣工後は、新規に供給されたオフィスや住宅と既存ストックとの間でテナントや入居者の獲得競争が生じる場合もあります。

 

横浜の再開発を進める際のポイント

 

横浜 再開発 ポイント出典:PIXTA

 

横浜の再開発を着実に進めるうえで欠かせないのは、行政・事業者・地域住民という立場の異なる関係者の連携です。権利変換や資金計画といった専門的な調整には、都市計画やまちづくりに携わる専門家の役割も欠かせません。

 

実際に、それぞれの再開発プロジェクトの背景には、権利者との合意形成や資金計画の設計を一つひとつ積み重ねてきた担当者たちの存在があります。こうした人の存在に目を向けることも、まちの変化を理解するうえで一つの視点になるでしょう。

 

横浜の再開発を理解してまちの未来を見る視点を持とう

 

横浜 再開発 未来出典:PIXTA

 

横浜では都市再開発法にもとづく市街地再開発事業を軸に、横浜駅・みなとみらい・関内から郊外エリアまで、多様な再開発プロジェクトが同時並行で進んでいます。一方で、合意形成や資金計画などの課題も残り、行政・企業・住民の連携が今後さらに重要になるでしょう。まちの変化を追いながら、その背景にある人や仕組みにも目を向けてみてください。

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